観光まちづくり学会設立趣意書

近年における、新幹線等による国内の高速交通網の整備や地方空港への国際便の就航等により、わが国の国際化の波は首都圏だけに留まらず地方にも押し寄せ、地方の都市や観光地においても外国からのtouristは増加傾向を示している。

観光やビジネス等で、わが国を訪れる外国人touristは2000年には476万人であったが、2007年には835万人(予測値)を越えるに至り、2010年には1000万人(予測値)の達成がほぼ確実視されている。

さて、このようなわが国における国際観光の活発化は、諸外国の人々がわが国に対する理解を深めるばかりでなく、地域社会が異文化と接触することによって、地域の根底に流れる風土(自然、歴史、伝統文化)によって培われた地域の独自性のある日常の生活文化を住民に再認識させ、地域社会全体の活性化を促し、住民の新たなものへの創造を可能にする。

したがって、観光からのまちづくりは、外国人touristのためだけでなく、住民の精神的な豊かさの形成においても重要な役割を果たすものであるといえる。そのため、近年においては観光研究が単なる国際観光対応のための観光論や観光の現象分析から実際の観光まちづくりに関心を移すことが緊急の課題になっていることを認識したい。

一方、都市計画の分野についてはどうかというと、近年、都市計画は「まちづくり」と呼ばれるように、従来のいわゆる都市計画的な整備内容が含まれることが多いものの「まち」の意味するところは、都市であったり、繁華街であったりするし、「づくり」も文化やにぎわい感、マネジメント(成長管理)、住民参加等のソフト対応も含んだ、創る、更新する、修復する、活性化を図る等その意味するところが多様になってきている。

このように、21世紀の成熟社会の観光研究においては観光学、観光人類学、景観・都市デザイン、都市計画、建築学、造園学、土木工学、動植物学、生態学が相互に深く関わり合う(協力・協調する)必要があるという認識のもとに、個性的で質の高い総合的な環境のあり方について考察し、時代の要請に応えることが重要な課題となってきている。

そのため、われわれはここに「観光まちづくり学会」を設立し、従来の「観光研究」の視点を、専門領域にとらわれることなく、総合科学的な「観光まちづくり研究」に発展させ、時代の要請に応えようとするものである。

(第1回総会で確認了承)

平成13年12月8日
初代会長
工博 岩手大学教授 安藤 昭